各地で地方選挙の候補者が確定
10月にニュージーランド各地で行われる地方選挙の候補者が確定した。オークランドでは172議席に対して、2013年以来の最多となる計477人の候補者が立候補。市長候補は12人、市議会候補は80人、地域委員会候補は385人である。ウェリントン市では、市長には12人、市議会には46人、タワ(Tawa)地方委員会には8人が立候補している。マーカラ/オハリウ(Mākara/Ōhāriu)区は6議席に対し4人の立候補しかなく、残り2議席は来年初めに補欠選挙で埋められる。クライストチャーチでは市長に8人、市議会に40人、地方委員会に70人が立候補する。ハーウッド(Harewood)区、ワイマイリ(Waimairi)区、ホーンビー(Hornby)区の3議席は現職が無投票で再選される。カウンシルのウェブサイトに候補者が自己紹介動画を公開する自治体もある。有権者が地域の代表を選ぶ重要な機会なので、是非投票を。

雇用主向け交通費補助プログラム「Fareshare」
オークランドでは、企業が従業員の公共交通利用を支援する新制度「Fareshare」が注目を集めている。Fareshareはオークランド交通局(Auckland Transport、以下AT)が提供する雇用主向けの補助金プログラムで、企業が従業員の交通費の25%、50%、75%を補助できる仕組み。割引は直接AT HOPカードに反映され、バス・電車・フェリーの利用がより手頃になる。福利厚生税の対象外となるため、従業員だけでなく雇用主にも経済的メリットがある。すでに建設業のJohn Fillmore Contractingや不動産会社Samson Corporationなどが導入し、従業員の通勤コスト削減とともに二酸化炭素排出削減、地域全体の渋滞緩和に寄与している。実際に利用した従業員は公共交通の利用率が平均30%増加しているという。コスト削減と環境配慮を両立させる取り組みとして今後さらなる普及が期待されている。

犬による咬傷事故、飼い主に責任
カウンシルは2020年3月以降、犬による咬傷や攻撃で人や動物に重大な被害を与えた飼い主に対し、611件以上の訴追を行った。2024~2025年度の1年間だけで約3,000件の犬による攻撃と15,000件超の放し飼い事例が報告されており、これはコロナ禍以降の飼育頭数増加、去勢・避妊率の低下、未登録や訓練不足の犬の増加が背景とされる。犠牲者の多くは子どもで、深刻なけがや心的外傷を負っている。2023年10月にはニュー・リンで女性が大型犬ロットワイラーに襲われ、腕に10~15センチの裂傷を負った。飼い主は被害者への支援を行ったが、裁判所は傷害の重大性を考慮し無罪放免を認めず、70時間の社会奉仕と500ドルの賠償を命じた。犬は事件4日後に安楽死に処された。カウンシルは、多くの事故は飼い主が犬を適切に制御していれば防げると考えており、厳格な訴追姿勢を強調している。

オークランドで楽しめる素晴らしいコミュニティハブ4つの紹介
カウンシルが運営、または地域団体と連携して管理するコミュニティセンターや図書館は、市民の文化活動から生活支援まで多様な機会を提供している。市内には200以上の施設があり、会議やイベントのための貸室のほか、料理教室、ダンス練習、3Dプリンター体験など多彩な活動が行われている。例を4つ紹介する。
「Te Paataka Koorero o Takaanini」
移動式書架を活用し、図書館をカパハカ公演やマーケットなどのイベント会場に変身させられる多目的施設。子ども向けのマオリ語イマージョン・プログラムや高齢者の健康講座、無料陶芸やゲームクラブなど幅広い活動が行われている。

「Albany Community Hub」
主に貸室施設として利用され、誕生日会や結婚式、地域イベントの会場として人気がある。併設の商業用キッチンや庭を活用し、語学クラス、ズンバや太極拳、子ども向け芸術教室など多様なプログラムを提供している。

「Te Manawa」
図書館、相談窓口、貸室が融合した拠点で、伝統工芸から映画上映、創作ワークショップまで幅広い活動が盛んだ。200人収容の大ホールや音楽スタジオ、3Dプリンターなどの設備を備え、学びと創造の場を提供している。

「Gribblehirst Community Hub」
元ボウリングクラブを改修した施設で、家庭的な雰囲気のなかで編み物、料理、ガーデニング、テーブルテニスなどが楽しめる。敷地内には養蜂場やコミュニティガーデンがあり、地域の交流とエコ活動を結びつけている。

コミュニティアワードの受賞式
7月31日、地域社会への貢献を称える「ウェリントン空港地域コミュニティ賞(Wellington Airport Regional Community Awards)」と「ポーネケ市民賞(Pōneke Civic Awards)」の合同授賞式が行われた。受賞者には市民やボランティア、コミュニティ団体が含まれ、ワイタンギ条約の尊重、環境保護、地域ハブの運営、多様なコミュニティの声を届ける活動、家族向けイベントの開催など、多岐にわたる活動が評価された。地域コミュニティ賞の最高賞は「Te Whare Hapori o ngā Puna Waiora Newtown Community Centre」が、ポーネケ市民賞では地域の改善に貢献した4名の個人が受賞した。ウェリントン空港は毎年、地域団体やボランティアの功績を表彰している。ポーネケ市民賞は1986年に創設され、地域奉仕、福祉、スポーツ、文化・芸術、レクリエーション、教育への貢献を顕彰している。

再利用可能カップ共有システム「Mug.Cycle」
ウェリントンのカフェ経営者サイモン・エドモンズ(Simon Edmonds)は、ゼロウェイストの再利用カップ共有システム「Mug.Cycle」を運営している。この取り組みは、ウェリントン市の廃棄物削減支援基金(Waste Minimisation Seed Fund)から資金援助を受け、不要になったカップを回収・洗浄・滅菌してカフェやイベントで利用できるようにし、使い捨てカップの使用を減らすことを目的としている。利用者はカップを借りて使用後、返却スタンドに戻す仕組みで、環境負荷の低減と廃棄物削減につながる。現在、ハーバーサイドマーケットでは多くの市民がMug.Cycleを利用しており、サイモンはその支持に感謝している。ウェリントン市のゼロウェイスト戦略は循環型経済を目指しており、Mug.Cycleのような再利用・修理・共有の取り組みは、資源の有効活用と廃棄物削減に貢献している。

ストリートアート展に60人のアーティストが参加
8月1日から9日まで、ウェルズ・ストリート(Welles Street)のThe Welder Events Spaceで開催されたグループ展「Roll Call – A Survey of Ōtautahi Urban Art and Artists」は、街のストリートアートを屋内で体感できる企画として注目された。クライストチャーチのストリートアートプログラムの一環で、既に活躍するアーティストから新進気鋭の作家まで、60名以上の都市系クリエイターの作品を展示。グラフィティや壁画、ストリートアート、写真、タトゥー、ファインアートなど、多彩な表現が一堂に会した。クライストチャーチは都市型クリエイティビティの「ホットスポット」として注目されている。2011年の地震後、街中に創造的エネルギーが爆発的に広がり、壁画やストリートペインティング、インスタレーションなどが国際的な評価を受けているという。

2026年クライストチャーチ新スタジアムで「スーパーラウンド」を開催
クライストチャーチ市は、クルセイダーズ、スーパーラグビー・パシフィックと協力し、2026年にスーパーラグビー「スーパーラウンド」をクライストチャーチで開催することを発表した。これは、テ・カハに建設された新スタジアム「ワン・ニュージーランド・スタジアム(One New Zealand Stadium)」での初の大規模スポーツイベントとなる。スーパーラウンドでは、世界クラスのラグビーとライブ音楽、家族向けのイベントが融合し、ニュージーランド国内のみならずオーストラリアやフィジー、太平洋諸国のファンが一堂に会し、歴史的なフットボールの祭典を楽しむことができる。新スタジアムは固定屋根の下に25,000席を備え、市中心部に位置するため、ラグビー観戦に最適な環境を提供する。試合は、4月24日から26日にかけて10チームがクライストチャーチに集結し、3日間で5試合が行われる予定だ。

春の子羊シーズン到来、ポートヒルズでの注意呼びかけ
ポートヒルズでは現在、羊の出産シーズンが始まっており、クライストチャーチ市は保護区域の入口に「出産期間中」の注意看板を設置している。クリストチャーチ市地域公園マネージャーのポール・デブリン(Paul Devlin)氏は、犬の散歩やサイクリングを楽しむ際も農家や家畜への配慮を呼びかけている。犬の飼い主は常にリードの着用を求められており、これに違反すると300ドルの罰金が科される。特に生まれたばかりの子羊は人に対して非常に敏感であるため、自転車に乗っている場合は、近くに雌羊や子羊がいたら速度を落とすか、自転車から降りて通行するなどの配慮が必要だ。家畜の異常や孤立した子羊、人が家畜に触れているのを見かけた場合は、市の連絡先(0800 800 169)に通報するよう求められている。出産シーズンは10月中旬まで続くが、全ての市道は通常通り開放されている。

情報提供:Auckland City Council / Christchurch City Council / Wellington City Council