海外でも『好きを仕事にする』方法

海外でも『好きを仕事にする』方法BUSINESS

セルフブランディング&ブログ術の『かさこ塾』塾長に、海外で『好きを仕事にする』上で必要なポイントやヒントを伺った。

日本では2〜3年前から『ママ起業』ブームの煽りもあり、インターネットやSNSをツールとしてフリーランス業や副業を営む人が増えてきた。それに伴い、ブログの書き方講座や起業塾、コーチングセミナーが頻繁に開催されている。中には受講料が高いばかりで、受講内容はアフィリエイト(成功報酬型広告)の話か交流会だけの実りの少ないものもあるようだ。このような中、人気セミナー講師、かさこ氏は『好きを仕事にする』実践的な方法を打ち出している。

『好き』を仕事にするとは?

かさこ氏は『好きを仕事にする』をコンセプトに、セルフブランディング※&ブログ術を指南し、本人の経験に基づいた人生が楽しくなる方法を教えている。4回にわたる講義の初日にまず考えることは『自分は何を本気で好きか』である。「お金をもらわなくてもやりたいこと、100億円あっても続けたいことが本当に好きなことです」とかさこ氏は言う。しかし、『好き』や趣味と仕事は合致しないのではないかと考える人も多いだろう。『好きを仕事にする』とはどういうことなのだろうか。

「お金をもらわなくても好きなことを続けた結果お金を稼げるようにする、これが『好きを仕事にする』ということです」

かさこ塾の生徒の例では、ある広告漫画家さんが、趣味の盆栽について1年くらいSNSで発信していたところ、盆栽専門誌から漫画の連載を描いてほしいと仕事がきたという。〝盆栽に詳しい漫画家〟を求めている出版社の目に留まったということだ。彼女が『好き』を仕事にできたポイントは、わかりやすい肩書で、他人の役に立つ内容を毎日発信したことだという。では、わかりやすい肩書のためのセルフブランディングはどのようにすればいいのか。「社会が自分に求めているものを知ることです」とかさこ氏は語る。

「仕事仲間ではない友達や家族、取引先から自分がどう見られているか、何を求められているか、何を評価されているかを聞いてみるといいですよ。自意識と社会から求められていることを照らし合わせて、ずれを調節し、それをアピールしていけばよいでしょう」

かさこ氏の場合は、必要とされているのはライター兼カメラマンという自分であることに気づき、好きな旅行からアピールする方向を変えていったそうだ。「私は旅行が好きで旅行ライターをしていました。その時にライターだけでなくカメラマンもできるという側面を買われて、北海道や沖縄などでインタビューをし、記事を書く仕事を依頼されました。やってみると、地方のあちこちに行っておいしいものは食べられるし、仕事をしながら好きな旅行ができちゃったんですよ」

このように、客観性のほかに多面性も強みになるという。「複数の肩書やできる分野を持つことにより、多方面から仕事のオファーがくる可能性が広がります」と語るかさこ氏はカメラマン、ライター、編集者、講師、ミュージシャンといくつもの顔を持つ。

殻を破って発信せよ

海外在住者は、国内のほかに日本という大きなマーケットを意識するだろう。かさこ氏も、海外からのブログなどによる発信は集客に有効だと言う。例えば現地コーディネーターを探すときなど、ブログやホームページでしっかり発信している相手には日本からも仕事を頼みやすいのだそうだ。好きなことをブログやSNSで毎日発信していくと誰かが目に留め、仕事に結びつくチャンスはやってくるかもしれない。とはいえ、ほかにも同じようなことを書いている人がいるし、読んでもらえるか自信がないと言う人はどうしたらいいのだろうか?

「文章を書くこと、それを発信することによってモヤモヤがなくなり、頭も心も整理されます。やりたいことを外に見えるようにすると殻を破れるんです。リアクションを気にせず書きたいことを書けばいい。万人受けしなくても、一人でも読み手がいればいいと考えて」

最後に、時間がない、または才能がない、失敗したらはずかしいなどを理由に、一歩を踏み出せない人に対してメッセージをもらった。「好きな言葉に『才能とは持続する情熱』というのがあります。AIやロボットが何でもやってくれる時代、好きなことをやり続けた人が結果として勝つ世の中になるのではないでしょうか。好きなことをやり続けると人生が楽しくなる、仕事にもなる。お金をもらわなくてもできる好きなことを今、やり始めてほしいです、明日死んでも悔いが残らないように」

※個人が自分自身を商品ととらえメディア化し、その価値を高めようとプロモーションすること

かさこ(笠原崇寛)
かさこ(笠原崇寛)さん

大手サラ金会社に就職するも、やりたい出版業界へ飛び込む。
編集者やライター、カメラマンとして仕事をしながら、毎日更新するブログをきっかけに、個人で20冊の本を出版するなどパラレルキャリアを実践。2012年にフリーランスになり、好きを仕事にする大人塾『かさこ塾』をスタートさせる。年間160回以上の講義や講演をこなし、生徒数1700名に及ぶ人気塾講師。



取材・文 GekkanNZ編集部

2019年2月号掲載