ワークビザが下り、日本に残してきた妻のパートナービザを申請したら却下された

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「困ったときの法律駆け込み寺」日本とは勝手が違い、戸惑うことも多いニュージーランドの法律。現役弁護士がお答えします。

2018年08月号掲載

Q. 妻(2年前に結婚)を日本に残し、私一人で昨年NZへ来ました。先日ワークビザが下りたので妻のパートナービザの申請をし、戸籍謄本の翻訳を提出しましたが、却下されてしまったので、アドバイスをお願いします。

パートナーワークビザは、永住ビザもしくはワークビザ保持者のサポートがあり、かつ二人の関係資料を提出すればすんなりと取れると思われている方が見受けられ、却下に関するお問い合わせをよくいただいています。

まず一般的なアドバイスとして、移民局へパートナーを証明するためには条件があります。中でも二人が継続的な関係で同居している事実があることが一番重要です。これの証明として、二人で署名した賃貸契約書とその住所あてに届いたレターがあれば有効な資料となります。これに加え、共同名義の銀行口座などを提出することにより、二人の関係性が審査され、大抵の場合は証明できると思われます。

ただし、今回のご質問者のように、NZ移住を目指し、ご夫婦の一方が先にNZへ来て、ワークビザを取得した後に再び同居予定という方がいらっしゃいます。このケースでは、移民局の基準ですと、二人の関係性を証明する書類が準備できないことが多く、容易にはいきません。

例えば、NZ渡航前後の同居資料が無いことや、日本では共同名義の銀行口座の作成ができないことなどが理由となります。ビザ申請時に同居していない、もしくは同居期間が短期間の場合、別居期間を時系列で説明する必要があります。

なお、戸籍謄本の翻訳は、審査資料としては有効ですが、これだけでは継続的な関係を証明する決定打にはなりません。なぜなら、ビザを欲しい人がお金を払って、偽装結婚のような形でビザを取る不法ビジネスが横行するのを防ぐためです。ご相談を受けた折には、まず二人の状況を詳しく伺い、どういった資料が効果的かを提案します。

なお、NZ国籍の男性と付き合い始めて5カ月のワーホリ女性が、短期間の付き合いでパートナーワークビザを取れるかという別のご質問にも触れておきます。結論として、短期間であってもビザが取れる可能性はあります。ただし、前記と同じパートナー証明が要求されますので、単にお付き合いされている事実だけではパートナーとは見なされない可能性が高いので注意が必要です。

弁護士 西村純一
弁護士
Junichi Nishimura
西村純一

ローズバンク法律事務所代表弁護士。オークランド大学法学部を卒業し、ニュージーランドで初の日本人弁護士となる。

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※本記事はあくまでも法律情報の提供を目的としており、法律アドバイスとして利用いただくためのものではありません。