そろそろ冬支度。寒さと暗さに反応する植物たち

園芸家が見つけた季節のたより 花と野菜と庭とLIFESTYLE

2022年5月号掲載

秋も深まり気温が下がってきた。室内の観葉植物たちの土の乾き具合が、春や夏に比べて明らかに緩慢になってくると、ああ、そろそろ冬がやってくると感じる。成長期には水やりの時に定期的に液肥を混ぜて管理していたが、そろそろそれもストップ。常夏出身の彼らにとっては、これからの季節は寒さに耐える時期。夏には1〜3日おきに上げていた水やりも、徐々に1週間、2週間、様子を見ながら頻度を下げていく。

この季節、寒さに加えて日も短くなるので、鬱々として嫌だなあなんて思うかもしれない。でも日が短くなることに反応して、花芽をつけたり色変化を起こしたりする植物たちも結構いるって知ってた?

寒さを感じて色づいたエケベリア。これも寒さがあってこその美しさですね

例えばシャコバサボテン、カランコエ、ポインセチアや菊など。すでにお店に売られているそれらが、すでに満開で良い状態なのは、プロが前もって「短日処理」をしたからかも。短日処理とは、覆いをかけるなど、太陽の光の当たる時間を短くコントロールしていくことで、植物たちは日が短くなったと感じて花芽をつける性質を利用した技術だ。

我が家のカランコエが全然咲かない!と思っていた人。夜も明るい室内に置いていたら、花芽がつかないのは当たり前なのだ。我が家のシャコバサボテンは、ギリギリまで屋外のテラスでこの短日を経験させつつ、ギリギリの寒さを経験させるプラス少し水やりを控えることで花芽を作る。カランコエも花芽が上がってきているみたい。植物にとっては、寒さと暗さも、そんなに悪いものではなさそうだ。

Naomiさんとネコ先生
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美

日本でガーデンデザイナー、イラストレーターとして活動。
園芸雑誌や新聞へのコラム執筆、デザイナー向け講演も行う。
現在クライストチャーチ近郊に在住。

【ブログ】naomigarden8.com