庭から始める自然保護

園芸家が見つけた季節のたより 花と野菜と庭とLIFESTYLE

2021年11月号掲載

テカポの観光名物にもなっている、ルピナスの花畑。初めてテカポでそれを見た時の感動は、今でも忘れられない。青く澄んだ空と、ピンクや紫、黄色のルピナスが群生する様は、これぞ桃源郷と思ったものだ。日本に帰れば1鉢に1本立ち上がったルピナスがそこそこの値段で売られ、あの群生を作るのにどれだけお金がかかるんだと思った記憶がある。 でも、皆さんご存知の通り、あのルピナスは外来植物で雑草として扱われている。そしてルピナス以外にも多くの植物が、自生植物に危害を与える雑草という扱いで、注意勧告されているのをご存知だろうか? 一番の理由は繁殖しすぎて自生植物の森へのダメージを与えてしまうから。私の庭に植える分には良いでしょ?と思う人ももちろんいる。

地域ごとの冊子やwww.weedbusters.org.nzで情報収集を

でも植物は思った以上につるを伸ばし、種を飛ばし、落ちた子株がそのまま簡単に根付いたりしてしまうのだ。だから、特に、保護エリア沿いにお庭を持っている人は、新たに植える植物には気をつける必要がある。

カンタベリー地域だと、ピッグスイヤーと呼ばれる多肉植物、モントブレチア、アイビー、ブッドレア、ホーリーなど身近な植物が注意すべき雑草扱いだ。日本原産の忍冬(スイカズラ)をそのリストに見つけた時は、日本人として少し恐縮した。自然保護というのは、何も出向いてネイティブ植物を植える活動に参加するだけでなく、こういう情報を知って自分の庭に責任を持つというのも十分立派な環境保護活動になる。ネットや冊子で啓蒙されているので参考にすると良いかもしれない。

*Pig’s ear, Montbretia, English Ive, Buddleia, Holly *Japanese honeysuckle

Naomiさんとネコ先生
Naomi Goto Garrett
五嶋ガレット直美

日本でガーデンデザイナー、イラストレーターとして活動。
園芸雑誌や新聞へのコラム執筆、デザイナー向け講演も行う。
現在クライストチャーチ近郊に在住。

【ブログ】naomigarden8.com