家の購入のための銀行ローン。収入などを銀行に調査されて判断されるの?

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2022年2月号掲載

「困ったときの法律駆け込み寺」日本とは勝手が違い、戸惑うことも多いニュージーランドの法律。現役弁護士がお答えします。

Q.家を購入するために銀行でローンを組もうと考えています。でも、実際に銀行からどのくらいの金額を借りられるのか心配です。収入などを銀行に調査されて判断されるのでしょうか?

信用調査という言葉を聞かれたことがあると思います。銀行で借り入れをする際に、ローン申請を行った人にどれだけの返済能力があるのかを調べるものです。貸す側の銀行にとっては貸し出したお金がきちんと戻ってくるのかの見極めは当然大切ですので、年収や勤務先の企業名はもちろんのこと、この調査結果が用いられます。

しかしこの調査は銀行が直接できるものではありません。誰にいくら貸付を行うことができるのか判断するための情報を持ち合わせているのは信用調査会社です。信用調査会社の情報網は多岐にわたります。インターネットの活用が著しい昨今では、インターネット上で皆さんが、あまり考えずにオッケーのボタンを押してしまっている利用規約やクッキーなどに代表される情報収集ソフトなどを利用し、さまざまな個人情報が、信用調査会社に集められています。

しかし、信用調査会社は常にマンパワーを利用して、情報を収集しているわけではありません。つまり、信用調査会社に集められる情報を皆さんが常にアップデートしておかないと、いざお金を借りよう、家を借りよう、リースを組もうという際に、自分の知らないところで古い情報が利用され、それをもって判断されて、自分が考えていた借入金額が借りられないということが発生します。

では情報を常にアップデートするにはどうしたらいいのでしょう。2020年プライバシー法制定から1年が経過しましたが、一つ重要な権利が皆さんに付与されました。自分に関する個人情報を確認や修正した場合に、そのウェブサイトには個人情報を収集している事業 に説明しなくてはいけないという義務が発生し、皆さんは自由に自分の現在の個人情報はどこまでアップデートされているかを確認することができるようになったのです。

お金を借りるという必要に迫られた時だけではなく、自分の個人情報がどの程度どのように集められ、現在の自分の個人情報はどのようになっているのかを確認する習慣を持つことが、自分の個人信用を上げ、ひいては自分が必要とするときに自分を助ける強力なサポートになります。

Yuka Asari
弁護士
Yuka Asari
浅利 友香

オーストラリアでの弁護士キャリアを経て2020年にK3 Legalへ所属。
専門は会社法・商法・ 用法、主に企業担当。

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